Interview成約インタビュー

「ブライダル業界」×「IT業界」成長戦略としての異業種M&A

「ブライダル業界」×「IT業界」成長戦略としての異業種M&A
譲渡企業
株式会社GoingN代表取締役 新岡 祥 様
本社所在地
神奈川県横浜市
事業内容
システム開発、WEB制作等
譲渡理由
企業成長の為
譲受企業
株式会社クリエイト取締役副社長 飯岡 大昇 様
本社所在地
神奈川県横浜市
事業内容
クリエイティブ制作等
譲受理由
WEB制作内製化の為
システム開発やWEBサイト制作を手掛ける株式会社GoingNは、上流工程から保守運用まで一気通貫でサービスを提供できることを強みに業績を伸長させている。ジュノー株式会社は、婚礼業界における写真や映像、WEBなどのクリエイティブ制作を一挙に手掛けているが、WEB制作の内製化等を目的に、GoingNをグループに迎え入れることを決意。今後はGoingNの技術力を活かし、ブライダル業界のデジタル化に注力していく。今回のM&Aについて、ジュノーの取締役副社長 飯岡 大昇氏に話を伺った。

全国に拠点を持つウェディングクリエイティブ企業

それでは飯岡さん、ジュノーの事業内容と設立の経緯を教えてください

飯岡氏:
ブライダル業界において、写真撮影や映像制作、WEB制作などのクリエイティブ全般を行っています。
ビデオが一般的になり始めた40年前、当時営業マンだった父(飯岡大学氏)が、結婚式の映像記録を頼まれてビデオ撮影をしてみたことをきっかけに事業がスタートしました。そこから徐々に事業展開していき、現在に至ります。
一般的な写真・映像関係の会社と違い、社長が根っからのカメラマンではないためか、「写真・映像とはこうでなければならない」といった凝り固まった考え方はなく、面白いものはどんどん取り入れていこう、新しいものはどんどん試してみようといったチャレンジングな精神を持っている点に強みがある会社だと思います。

社長である父からジュノーを承継した飯岡氏

飯岡氏:
父は「人のために何ができるか」「従業員も含めて周りの人に幸せになってもらいたい」という想いを大事にしてきたのですが、そういった想いや、これまで強みとしてきた部分はこれからも残していきたいと思っています。一方で、時代に合わせた強みも別軸で作っていかなければなりません。昔は一部のプロしか扱えなかった写真や映像も、今となっては世間一般に普及してきています。お金をもらって撮影している以上、技術を磨き続け、新しい知識や情報を常に先んじてキャッチアップしていく義務があると思っています。

M&Aを考え始めるきっかけはあったのでしょうか?

飯岡氏:
先ほどお話したように、時代とともに業界の状況やお客様のニーズが変わる中で、新しい武器や柱となるものが必要だと考えるようになりました。特にデジタルな分野における強みは必須だと感じ、コロナ禍に入る前からM&Aを考え始めました。

デジタルの分野を強化したいと感じた背景

飯岡氏:
結婚式における伝統や文化はたくさんありますが、それらが非効率に作用している部分もまた多いのが現状です。電子招待状やご祝儀の決済システムは自社で開発したものがありますが、招待状は約7割が未だに紙で、ご祝儀の事前決済に至っては1割も利用されていません。「ご祝儀をクレジットカードやオンラインで払うのは不義理だ」という意識からか、なかなか普及せず、とある式場ではご祝儀の盗難事件が起こったこともありました。このような事が原因で、お客様にとっての結婚式が悪い思い出になってほしくない、それよりもっと恩恵を受けてもらいたいという気持ちが強まり、デジタル化について考えるようになりました。

M&Aをするうえで重要視したことを教えてください

飯岡氏:
業種はWEBやシステム系の会社と決め打ちしていました。WEB制作は元々請け負っていたのですが、コーディングなどは外注していたので、内製化してスピード感を高めていきたい、できればオリジナルのシステムを開発してブライダル業界を盛り上げていきたいと思っていたので、そういった点でシナジーがあるかどうかを最も重要視していました。それから、会社の風土や経営者の人柄含め、どんなことを大事にしているかも見させていただいていました。

GoingNを譲り受けようと決めた理由はどのようなものだったのでしょうか?

飯岡氏:
GoingNの事業内容や業績の部分には元々魅力を感じていましたが、最終的には新岡社長とお会いして話した時に、互いの大事にしていることがマッチしていると感じたのが決め手となりました。新岡社長とエンジニアとの関係性が、私とアーティスト(カメラマン等の技術者、クリエイター)との関係性に通ずるものがあると感じました。

M&A後、変化したことはありますか?

飯岡氏:
既に一部の案件を一緒に始めていて、GoingNのエンジニアを一名ジュノーに派遣してもらっているのですが、彼らのスペックを活かしきれる部分はまだ大いにあると感じています。新岡さんとはよく話していますが、今後は新しいシステムの開発など、GoingNの実力がより発揮できるような取り組みをしていきたいです。
会社同士の交流も始めていて、2023年の新年会は合同で行いました。また、GoingNが今後新卒採用に力を入れていきたいということで、ジュノーの採用ノウハウを共有したり、会社説明会を合同で行ったりもしています。無事にGoingNから新卒入社者が出たので、内定式も一緒に行う予定です。

今後の方針についてどのようにお考えですか?

飯岡氏:
GoingNをどのように活かしていくか、ブライダル業界のデジタル化に対して何ができるかをより深く考えていきたいです。GoingNとしては今後、受託開発に力を入れていきたいので、受託する体制を強化していきたいと思っています。
ブライダル事業については、新郎新婦に向けた直販や、結婚式への入り口を増やすという意味で婚活事業にも注力していきたいです。婚姻組数は年々右肩下がりで、結婚したとしても挙式をしない「ナシ婚」と呼ばれる層が増加しており、業界の課題となっています。また、式を挙げた組よりも挙げなかった組の方が、離婚率が高いというデータがあります。離婚率が高まることで出生数が減少し、人口減少がさらに深刻化すると考えると、ブライダル事業は非常に重要な役割を担っていると感じます。「ナシ婚」層が数百万円をかけてまで式を挙げる必要がない、価値がないと思っているとしたら、それは業界の責任であるととらえ、挙げたいと思ってもらえるようなものを作り、提供していかなければなりません。これが我々の義務であり、やりたいことであり、目標でもあります。

最後にM&Aを検討する経営者の方にメッセージをお願いします

飯岡氏:
日本の企業のうち、中堅・中小企業の割合は99%を超えていることから、今後の経済状況や日本の在り方を考えると、M&Aは積極的に行うべきですし、体力のある会社や、更なる成長を目指す経営者は特にやるべきだと思います。成長可能性があるのに理由があって頭打ちしている会社は、M&Aをすることでチャンスが広がる可能性が大いにあると思います。中小企業全体の成長を促すことにも繋がるので、譲り受ける体制が整っている会社は、ぜひ検討していただきたいです。

ありがとうございました。

担当アドバイザーコメント

本件はブライダル業界とIT業界の異業種同士のM&Aの事例として、私自身大変貴重な経験をさせていただきました。
GoingN様は当時7期目、オーナーの新岡様は40歳と、業績も伸長されており、これからさらに事業を成長させていくようなご状況でした。
ジュノー様とのM&AはGoingN様にとって、ブライダル業界への新たな進出機会を獲得し、更なる成長を期待することができます。
ジュノー様にとってもブライダル業界へ新たなソリューションを提供していくきっかけとなりました。
トップ面談にて飯岡様と新岡様が『M&A後にどのようなことができるか』についてお話されていた際、ご両社と同様に私自身もワクワクしていたことが思い出されます。
それぞれ業界の可能性を超えて、両社の成長を加速させる事例となったと考えております。
今後のご両社の益々のご発展を心より祈念しております。
M&Aは後継者不在問題の解決策となることはもちろん、本件のように異なる市場へのアクセスや、新たな顧客基盤の獲得など、企業成長を加速させる有効な手段の一つです。
自社の成長において、どのようにM&Aという手段が活用できるか、ご検討いただけますと幸甚に存じます。
森岡 良介
シニアアソシエイト森岡 良介
関西大学商学部を卒業後、三井住友海上火災保険株式会社に入社。中小企業のオーナーを中心に個人・法人営業に従事し、担当先の業界課題に向けたソリューションの提供に従事。
その後、事業承継問題の解決策及び成長戦略の一つとなるM&Aに強く惹かれ、M&A業界に転身。
ペアキャピタルではIT業界を中心に担当しており、M&Aを通じた後継者不在問題解決や企業価値向上を支援。

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