Interview成約インタビュー

豊富な実績を重ねるIT企業が新たな可能性を追求して選択した求人広告企業とのM&A

豊富な実績を重ねるIT企業が新たな可能性を追求して選択した求人広告企業とのM&A
譲渡企業
株式会社テクノミスト代表取締役社長 堀田 主税 様
本社所在地
東京都目黒区
事業内容
システム開発、人材派遣等
譲渡理由
企業成長の為
譲受企業
株式会社クリエイト社長室長兼企業情報室長 山竹 伸一 様
本社所在地
東京都千代田区
事業内容
求人情報サービス提供事業
譲受理由
システム部門拡充の為
証券会社向けのシステム開発を手掛ける株式会社テクノミストは、上流工程を得意とするエンジニアの少数精鋭体制で大手企業との取引実績を重ねてきた。社長の堀田氏は経営業務全般を行いながらエンジニアとしても活動していたが、エンジニア業務への集中と自社の更なる成長を目的として、M&Aを決意。テクノミストを譲り受けたのは、昨年創業55周年を迎えた求人広告の老舗、株式会社クリエイトだ。今回のM&Aについて、テクノミストの代表取締役 堀田氏と、クリエイトの取締役CFO 山竹氏に話を伺った。

上流工程を手掛けるエンジニアが集うIT企業、テクノミスト

まずは堀田さん、御社の事業内容と設立の経緯を教えてください

堀田氏:
取引先の企業にエンジニアを派遣し、証券会社向けのシステム開発を行っています。現在の主要取引先とは、テクノミスト設立前からの付き合いでした。私は当時フリーランスとして準委任で仕事をしていたのですが、責任や仕事の範囲が広がる一方で自分の給料は増えないことに疑問を感じていました。契約先を変えるなどして2次請として仕事ができるようになったものの、今度は派遣法が変わって雇用期間が制限されるようになり、それがきっかけとなって無期雇用でエンジニアが働ける環境を作るため、テクノミストを立ち上げました。自身の経験から、エンジニアが正当に評価され、正当な報酬を得られる且つ、長く活躍できる場を提供したいと思ったのが始まりでした。

今回M&Aをするに至った理由はどのようなものだったのでしょうか?

堀田氏:
私自身もエンジニアとして現場に出ているのですが、経営者として経理や労務などの業務にも時間を割かなければならず、時間外労働が増えていく状況が数年続いていました。エンジニアを続けながら会社を大きくしていきたいと考える一方で、大きくしようとするほど自分の首を自分で絞めることになるので、何か良い解決方法はないかと模索していました。色々なお話を聞いた結果、私の仕事の一部をアウトソーシングできるような会社があるならと思い、M&Aを考えるようになりました。

ペアキャピタルにお任せいただいた理由を教えてください

堀田氏:
仲介手数料が明確でした。他の仲介会社からも沢山お話をいただいていたのですが、最も納得感のある条件を提示してくれたのがペアキャピタルでした。

担当アドバイザーの高本の第一印象はいかがでしたか?

堀田氏:
入社間もなく経験も浅かったとのことで、頼りない印象はありましたが低姿勢でもありました。私が元々イメージしていたM&A仲介の人とは違い、親身になって間を取り持ってくれているのがよく伝わってきました。

お相手探しをする中で、大切にされたポイントはなんでしょうか?

堀田氏:
経営権を譲り渡す気はなかったので、あくまでパートナーという形で探していました。条件としては、テクノミストが提供するものと上手くコラボレーションできる相手というのがマストでした。システムはどの企業にも必要な、いわば神経のようなものだと思います。過去の経験から、お相手に対して提供できることやお役に立てることは何かしらあるだろうと思っていました。

クリエイトを選んだ決め手は?

堀田氏:
テクノミストと上手くコラボレーションできるかという点で、クリエイトが最も目的を達成できると感じました。また、いつか自分が引退することになった時、自分の息子に継がせるかどうか、また継がせることになった時にそれを承諾してもらえるかも不安に感じていました。しかし、その不安に対しても「頑張ってほしい」と寄り添ってくれたのが決め手となりました。

ご従業員様に、本件の開示をしたときは驚かれたのではないでしょうか?

堀田氏:
反対などは特にありませんでした。というより、関心がなかったのかもしれません。当社の従業員たちは、会社のおかげというより自分自身に実力があるからこそ仕事ができて報酬を得られている、その報酬を一番最大化できるのがテクノミストだと考えているのだろうと思います。従業員たちがどう在りたいか、どうなりたいかは、彼ら自身で考えさせるようにしているので、会社のことにはそこまで関心がないのかもしれません。普通の会社員には理解しがたいとは思いますが、このユニークさもテクノミストの魅力の一つであると思っています。

M&A戦略により多角的に事業を展開する求人広告の老舗、クリエイト

それでは山竹さん、御社の事業内容を教えてください

山竹氏:
当社は1968年7月に設立された求人広告の会社です。元々、折込の求人に強みがある会社でしたが、現在はWEB媒体も組み合わせてサービスを提供しています。その他、教育事業やIT業界に特化した人材派遣事業なども展開しています。

今回のM&Aの目的は何だったのでしょうか

山竹氏:
テクノミストのように経験豊富なエンジニアが多く在籍する会社がグループに入ることで、システム部門の拡充や人材育成の強化に繋がると考えました。部門全体の強化にあたって専門的なアドバイスができる人材も必要でしたし、優秀なエンジニアとの交流から良い刺激を受けて欲しいという想いもありました。下流工程だけでなく、要件定義や顧客からの難しい要望にも対応できる高度なコミュニケーション能力の成長も必要だと感じていたので、上流工程を手掛けるエンジニアとの繋がりを持つことは勉強になると思いました。

M&Aをするうえで重要視したことを教えてください

山竹氏:
業務上のシナジーというより、グループ全体の考え方や仕事の流れにシナジーが生まれることを重視しました。これまでの当社におけるM&Aは業務上のダイレクトなシナジーを重視していましたが、今回は勉強させてもらうことや、大所高所から見て意見をもらうことを初めて考えたM&Aとなりました。

テクノミストを譲り受けようと決めた理由は?

山竹氏:
堀田さんと当社社長との波長が合ったからではないでしょうか。私自身も初めて堀田さんとお会いした時、ハッキリと意見を言ってくれる面白い方だと感じました。会社や事業の内容については理解していたので、最終的に馬が合ったというのが決め手になったのだと思います。

今後の方針についてどのようにお考えですか?

山竹氏:
クリエイト自体は求人広告の会社ですが、当社に限らずIT化は避けて通れない道だと思います。そんな中で内部にシステム部門を持っているのは強みになると思うので、グループと会社のシナジーを活かしてIT化をより強化していきたいと考えています。

M&A後、変化したことはありますか?

堀田氏:
私が夜中や土日にしていた仕事の量が減りました。気持ち的にも時間的にも余裕ができて、人を募集することに時間をかけたいと思えるようにもなりました。人員の増加については顧客からの要望も厚く、時間を割くべき部分だと思っていたので、前向きになれるようになったことは非常に良い変化だと感じています。
山竹氏:
大きく変わったと思います。昨年10月にシステム部門を大幅に改編したのですが、堀田さんにはシステム本部の顧問になっていただきました。彼が発言してくれるだけでも空気が変わる感じがあるので、当初の目的通り、非常に良い刺激になっていると思います。

最後にM&Aを検討する経営者の方にメッセージをお願いします

堀田氏:
何のために会社をやっているのかを突き詰めていった先に、自分や仲間だけでは限界かもしれないと思った時、M&Aは大きな選択肢になると思います。人生の限られた時間の中で自分の会社をどうしていきたいのかを考えた時の、解決方法の一つになるものだということをお伝えしたいです。
山竹氏:
いくつかありますが、1つはディールロジックを明確にすることが大事だということ。2つ目は、譲り受ける会社の本質を自分たちなりに正確にとらえること。3つ目は、お金が発生する以上、結果を出せるのか?1+1が2以上になるかどうかを冷静に考えることです。また、M&Aをした後も様々なことを調整したり、追加・修正したりしなければならないので、PMIも重要になってきます。
M&Aは譲受側のリスクが限りなく高いと思います。だからこそロジカルに、冷静に考えるのが大事だということをお伝えしたいです。

ありがとうございました。

担当アドバイザーコメント

上流工程を得意とするエンジニアの少数精鋭体制で、高い技術力を持つテクノミスト様がパートナーとして選んだのは、長年の業歴を有する求人広告の老舗クリエイト様でした。
テクノミスト様は創業から10年以上に渡り安定した経営をされてきましたが、IT領域への知見が深い堀田氏がさらにエンジニア業務に注力し、今後さらに会社を成長させていくための手段としてM&Aをご決断されました。一方、今回テクノミスト様の株式を譲受されたクリエイト様は、自社のシステム部門の拡充等の「IT化の推進」と、テクノミスト様に在籍されている経験豊富で優秀なエンジニアとの交流における「人材育成」の観点から譲受をご決断されました。
双方が持つ強みを最大限に活かし、新たな可能性を追求することのできる素晴らしいM&Aに携わることができ大変嬉しく存じます。
陰ながらではございますが、今後のご両社の益々のご繁栄を心より祈念しております。
昨今、M&Aは後継者不在での事業承継だけを目的としたものではなく、創業期の志やビジョンを実現するための成長戦略の一環として捉えられております。
ビジネスは永遠に「改革」と「変革」を追い求めなければなりません。現状に満足することなく限界を超えて成長を追求すること、それを可能にする手段の一つがM&Aであると思料しております。将来を見据えた成長戦略、及び更なる可能性の追求のため、M&Aを選択肢の一つとしてご検討いただけますと幸いです。
高本 凌平
ヴァイスプレジデント高本 凌平
立命館大学経済学部卒業後、社会貢献性が高く、顧客の課題解決に資するM&Aに魅力を感じ、新卒で独立系M&Aアドバイザリー会社に入社。
中小企業のオーナーを中心に個人・法人営業に従事し、M&Aを通じた企業の存続や事業拡大に尽力。
M&Aアドバイザーとして業種・規模・エリアを問わず幅広く経験を積み、ペアキャピタルに入社。

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