Interview成約インタビュー

会社と社員の未来のために、地元で長年愛される看板製作企業とデジタルサイネージで躍進を続ける企業のM&A

会社と社員の未来のために、地元で長年愛される看板製作企業とデジタルサイネージで躍進を続ける企業のM&A
譲渡企業
株式会社未来社前代表取締役 田島 速人 様
本社所在地
群馬県高崎市
事業内容
サイン・看板製作、印刷物・販促物、WEB デザイン
譲渡理由
後継者不在、事業の更なる発展の為
譲受企業
株式会社セイビ堂代表取締役 阿部 慎也 様
本社所在地
茨城県鹿嶋市
事業内容
デジタルサイネージ
譲受理由
既存事業の強化等
看板製作や印刷物及び販促物、WEBデザイン等を手掛ける株式会社未来社は、業歴35年の実績と、顧客との強固な信頼関係を強みに、群馬県高崎市を中心にサービスを展開してきた。前代表取締役の田島速都氏は、自身の持病や後継者不在による先行き不安を感じていたが、M&Aにより事業を存続させ、従業員の未来を守ることを決心。未来社を譲り受けたのは、デジタルサイネージをはじめとした製品及びサービスを幅広く提供する株式会社セイビ堂だ。両社の代表に今回のM&Aについて話を伺った。

群馬県高崎市で長年愛される看板製作企業、未来社

まずは田島さん、御社の事業内容と設立の経緯を教えてください

田島氏:
当社は、業歴30年以上の実績と顧客との信頼関係のもと、関東エリアを中心に看板製作や印刷、WEB制作を行ってきました。
私は以前、電気工事会社に勤めておりましたが、元々興味を持っていた広告業界へ思い切って転職しました。
そこで多数契約を獲得し、トップ営業マンになり、社内でも能力が高く評価されたことをきっかけに、勤め先を吸収合併した会社の社長のもとで働くことになりました。
その後独立し、お客様の“未来”を共に考え、共に歩んで行く会社を作りたい一心で、株式会社未来社を設立しました。

今回M&Aをするに至った理由はどのようなものだったのでしょうか

田島氏:
一番大きい理由としては、6年ほど前、脳梗塞で倒れたことをきっかけに左半身が麻痺してしまい、これまで通り自由に身体を動かすことが難しくなったことです。後継者不在に悩んでいたこともあり、65歳ではございますが、身体が動くうちは何とか会社をさらに大きくしたいという思いと共に生きてきました。ただ、気持ちとは裏腹に身体を思う様に動かすことができず、精神的にも本当に限界でした。会社の業績は悪化する一方で、単独での改善も難しい状況でしたので、そんな状況下でもなんとか事業を存続できないかと解決策を模索していたある日、会社にいると一本の電話がかかってきました。ペアキャピタルの萩原さんからです。萩原さんよりM&Aの概要やメリット等をご説明頂き、そこでM&Aという選択肢ができたのです。

ペアキャピタルにお任せいただいた理由を教えてください

田島氏:
はじめて電話で話したときは、まだ入社間もなかったようで、初々しく慣れていない様子でしたが、一生懸命、親身に話を聞いて寄り添ってくれました。群馬にも何度も田中社長と萩原さんに足を運んでいただき、どんな状況でもきちんと向き合ってくれると感じたので、お任せしたいと思いました。

お相手探しをする中で、大切にされたポイントはなんでしょうか?

田島氏:
社員が安心して働けて、会社の成長が期待できることです。私の体調面を考えると、譲渡後も継続して働くことは難しいと思っていたので、自分がいなくても社員が安心できるような(お相手の)社長の人柄や、会社の成長性は重視していました。

お相手としてセイビ堂を選んだ決め手を教えてください

田島氏:
阿部さんの器の大きさと人柄です。実際にお会いして、優しさと厳しさを兼ね備えたこの方なら社員も会社も任せられると感じました。また、看板製作業界の市場規模は今後シュリンクしていくと言われておりますが、デジタルサイネージ領域にも事業展開を図ることができることから未来社の未来を感じました。

ご従業員様に本件の開示をしたときの反応はいかがでしたか?

田島氏:
社員にも私自身や会社の状況について話していたので、M&Aを従業員へ開示した際には特段驚きはなかったようです。それよりも会社の未来への期待を膨らませている社員が多かったです。特に仕事熱心な社員においては、全国で活躍するセイビ堂さんと一緒になることによりチャレンジできることが増えるのではないかと意欲が高まっておりました。

「モノづくり」×「テクノロジー」を強みとするサインメーカー、セイビ堂

それでは阿部さん、御社の事業内容を教えてください

阿部氏:
当社は、デジタルサイネージをメインに看板製作を行う会社です。私の祖父が1967年に街の看板屋として「セイビ堂看板店」を創業したのが始まりで、31年前に私が事業を引き継いで今に至ります。当社の強みとしては、看板をただデジタルにするのではなく、これまで培ってきたモノづくりの経験と、IT技術を掛け合わせたソリューションを提供できるという点であり、お客様からもご評価いただいていると思います。

今回のM&Aの目的について教えてください

阿部氏:
今後、会社としてさらに成長していくにはオーガニック戦略だけでなくM&A戦略も必要になってくると考えていました。そんな中、アドバイザーの萩原さんからご紹介いただいたのが未来社でした。私も経験のある業種ということもあり、そんなお相手と互いにシナジーが生み出せたら、自分たちの新たな力になるだろうし、企業価値の向上にも繋がると思いました。

担当アドバイザーの萩原の第一印象はいかがでしたか?

阿部氏:
初めてお会いした時はまだ新人さんで、ひよこみたいな感じでした(笑)。ですがその分一生懸命さも伝わってきましたし、田中社長が彼女を親身にフォローする姿も印象的でした。また、お二人が私の知らないところでも未来社側とかなり緻密に交渉してくれたそうなので、それがなかったら本件には踏み切れなかったと思います。

M&Aをするうえで重要視したことを教えてください

阿部氏:
社員の人柄を重視していました。セイビ堂の社員は真面目な人が多いのですが、未来社の皆さんも真面目なのでフィットするだろうと思いました。採用に関しても同じことが言えますが、自社の仲間になるわけですから、人柄の良さは大事にしたいと考えていました。大きい会社同士のM&Aとはポイントが異なるかもしれませんが、中小企業で少ない人数で行う場合には非常に重要な要素だと思います。

未来社を譲り受けようと思った決め手を教えてください

阿部氏:
未来社の社員の皆さんが「(M&Aを)やってほしい」とお願いしてくれたことで決心がつきました。また、彼らが私のためにワークショップを開いてくれたことがあったのですが、その出来事も私にとっては未来社を迎え入れようと決めたきっかけの一つとなりました。

M&A後、変化したことはありますか?

阿部氏:
私にとっては初めてのM&Aだったということもあり、この経験を通じて価値観が変わったように感じます。
現在、未来社とは定期的に打ち合わせをしていて、オフィスにもよく様子を見に行っています。共同で行う案件も少しずつ増えてきているので、これからシナジーが出てくるのではないかと思っています。

今後の方針についてどのようにお考えですか?

阿部氏:
M&Aをしてまだ1年、変化を実感するには1年以上はかかることが分かったタイミングなので、今年は数字としてプラスにしていきたいです。最終的には、両社の社員が同じグループとして同じ志を持ち、共に進んでいってほしいと思っています。
また、当社は全国をターゲットにしていますが、未来社は高崎市における盤石な顧客基盤を強みに地域に根差した事業を展開しています。特定の地域で安定的に売上を作ることは決して容易ではないと思います。当社としては、今後さらに広い地域への展開を目指しているので、未来社の地域特化型の手法を参考にしながら、全国各地にネットワークを広げていきたいと考えています。

最後に、M&Aを検討する経営者の方にメッセージをお願いします

田島氏:
65歳ですが、正直、身体が動くのであればまだまだ自分が代表として会社を大きくしたいと心残りはあります。ただ、社員や会社の未来、クライアント先のことを考えると、事業の存続だけでなく、発展していくM&Aは一番いい選択だったと思います。
特に社員は、今回のM&Aにより良い刺激を沢山受け、前進しています。そんな姿を見ると、人が会社をつくるように、会社が人をつくると感じました。M&Aは、勇気のいることですが、まずは一歩踏み出し、色んなことに向き合い、選択肢を広げてみるのはいかがでしょうか。
阿部氏:
私は、M&Aを一つの戦略として持つことで武器が一つ増えたように感じています。M&Aというと何となく敬遠する部分や、営業に対して身構える部分もあるかもしれません。しかし、全く聞く耳を持たないというのは勿体ないと思います。一歩踏み出して話を聞いてみれば、私のように考えが変わることもあると思うので、まずは話を聞いてみることが大事だということをお伝えしたいです。

ありがとうございました。

担当アドバイザーコメント

未来社様、セイビ堂様、この度はご成約おめでとうございます。
そして、数あるM&A仲介会社から弊社にM&Aのご支援をお任せいただきまして、誠に有難うございました。
はじめて未来社様やセイビ堂様とお会いしたのは、私がペアキャピタルに入社して5か月目のことでした。
当時、弊社代表田中のもと、既に入社から3か月目で運送企業様と総合物流企業様のM&Aのご支援をさせていただいた経験はございましたが、まだまだM&Aアドバイザリーとしてはひよっこ者でした。
そんな中、未来社様との出会いのきっかけは、一本の電話からでした。
田島様は普段、すぐにお電話に出られるような距離にはいらっしゃらなかったとのことですが、その日は偶然にもご縁とタイミングが重なったとのことです。
そして、そこからは何度か本社のある群馬県高崎市に伺い、後継者不在やご自身の持病などのご状況、業歴35年の会社に対する想い、今後の会社の存続や発展に向けたお考えを伺いました。
田島様のお気持ちとしては、出来ることであればお身体が動く限り、ご自身で会社をさらに成長・発展させていきたい、M&Aという選択肢を選ぶのは正直悔しいとお話しくださいました。
ただ、これまで35年守り築き上げた会社には、従業員やお取引先様がいるため、この先のことを考え、田島様は未来社様の社名にも込められている「未来」をM&Aという選択肢によって繋ぐという決断をされました。
そんな未来社様にとって、どのようなパートナーが最適なんだろうと沢山の企業様を調べて探しているときに、セイビ堂の阿部様のインタビュー記事を見つけました。
そこには阿部様のご祖父様が、阿部様のお母様のお名前の「清美」からとって「セイビ堂看板店」をご創業された経緯から記載されておりました。
阿部様は創業当時、小学生ながら現場までお手伝いされ、書道家の顔も持つご祖父様の背中を見て成長されてきたとのことです。
しかし、その後、ご祖父様が病に倒れられ、後継者もいなかったことから、17歳の阿部様は家業を守るため、パイロットの夢を捨て、ご祖父の知人が経営する看板製作企業様にて修行され、その後セイビ堂様の後を継がれました。
そこから、デジタルサイネージの道に進まれる経緯なども読ませていただき、阿部様のお人柄やこれまでの想いを感じ、直観的な部分も含め、セイビ堂様が未来社様のパートナーであればいいなと思い、阿部様へご連絡差し上げました。
はじめて阿部様とご面談させていただいた際、不慣れで上手くご説明できなかった部分も多々ありましたが、阿部様は何度も真剣にグループにお迎えするためにと、そして双方にとってM&Aしてよかったと思えるようにと検討を重ねていただき、最終的に温かく未来社様の想いを受け取ってくださり、会社の成長と発展に繋げていただきました。
未来社様、セイビ堂様、改めてご成約おめでとうございます。
そして、ご支援させていただき誠に有難うございました。
日々悩まれている経営者、従業員、お取引先様にとっても、M&Aという選択肢が前向きなものであり、身近に感じていただけたらと思います。
そのためにも、M&Aアドバイザーとして、誠実と感謝の気持ちを忘れずに、尽力して参りたいと思います。
萩原 穂香
ヴァイスプレジデント萩原 穂香
大学卒業後、広告制作会社へ入社。様々な出会いや考え方の変化により、世の中を大きく支える経営者に寄り添う仕事がしたいと考え始め、知人の経営者を通じてM&Aについて学んだことからM&Aのイメージや固定概念を良い意味で変えていきたいと思い、ペアキャピタルに入社。
入社後2カ月半で運送会社様のM&Aを成約に導く等、幅広い業種の企業様を支援し、2023年度の成約件数1位を獲得。現在はIT・広告・エンタメ業界を中心に担当。

VIEW LIST